はじめに
デジタル・カラーセンサーを使って、フルカラーLED光と、色々なカラープリントのRGBを比較してみました。
カラーセンサーについて
カラーセンサーは、色の3原色であるR(赤),G(緑),B(青)をフォトダイオードで検出する光センサーです。S11059-02DT(浜松フォトニクス)は、I2Cインターフェースのデジタル・カラーセンサーで、受光部は、R,G,B,IR(赤外)を捉える4種類のフォトダイオード各10セルから成ります。(下図)
また、受光感度(ゲイン)と積分時間の設定が可能で、広範囲の測光が可能です。検出結果は、16ビットのデジタル値で出力されます。
下は、フォトダイオードの分光感度特性およびカウント値と照度の関係です。最大感度波長λp[nm]は、R:615,G:530,B:460、相対感度は、R:100%に対しG:約70%,B:約50%と差があります。カウント値と照度はリニアな比例関係です。
受光感度(ゲイン)はHigh/Lowから選択します。Highゲインは、40セル全てのフォトトランジスタを使い、高感度で動作します。Lowゲインは、各色1セルの計4セルを使用します。Highゲインの測定値は、Lowゲインの10倍です。
積分モードは、固定時間とマニュアル設定があり、積分時間は次の4つの条件から選択します。
固定時間は積分時間固定です。マニュアル設定は 定数 x N(N:0x0000~0xFFFF)を設定できます。光が微弱で固定時間では感度が不十分な場合、マニュアル設定が効果的です。この実験では、Highゲイン,固定時間(積分時間:22.4ms)で測定しています。
フルカラーLED光のRGB
ブレッドボードに下写真のユニットを組んで実験しました。センサーが外乱光の影響を受けないよう下写真のようにLEDを黒の熱収縮チューブで覆い、フード代わりにしています。
下は、LED 7種類の光と自然光の各RGB値です。(LED発光条件は、別記事「フルカラーLEDの実験」を参照)
発光素子の検出が高いのは当然ですが、Bがオンの条件ではGがオフにも関わらずGが高く検出されています。これは、使用したLEDの青色光が、センサーのGフォトダイオード波長寄りのためと考えられます。自然光はR>G>Bでセンサーの分光感度特性と同じ傾向に対し、LEDの白色光(R+G+B)はR<G<Bで自然光と逆の傾向です。白色光のGとBを調光すれば自然光に近づけられると思います。
カラープリントのRGB
光沢紙にプリントした16色のパターンに白色LED光を照射し、反射光を測定しました。RGBを比較するには、一律同じ条件で測定する必要があるので、下写真のような測定ヘッドを用意しました。これによって、プリント面とセンサー/LED間を一定に保ち、外乱光の影響を減らします。
下は、各色のRGB値です。RGBに分解すると、どの系列色かよく分かります。相対的に明るい色(⑥, ⑩, ⑯)ほどRGBが高い傾向なのは、反射が多いためです。なお、反射がないはずの黒色(⑮)にRGB成分が検出されているのは、光沢紙による白色LED光の反射成分とみられます。
まとめ
フルカラーLED光と、カラープリントのRGBから、色は反射の強弱とRGBの割合で決まることが分かりました。カラーセンサーは、例えると光をRGBに分解するプリズムです。また、RGBに定量化することで、視覚色イメージを数値化できます。このような特定を生かして、カラーセンサーはディスプレイの調整や色の判別などに活用されています。
– 以上 –