AMスーパーヘテロダインラジオの作製

はじめに

AMラジオは、受信/増幅/検波方法によって、ストレート方式,レフレックス方式,スーパーヘテロダイン方式に大別されます。(過去記事のゲルマニウム・ラジオはストレート方式。レフレックス・ラジオはいずれ紹介します)
AMスーパーヘテロダインラジオ(以下スーパーラジオ)は、これらの中で受信感度や選局に優れたラジオであり、現在市販されているものは全てスーパーラジオです。

概要

下は、スーパーラジオの仕組みをブロック図で表したものです。

スーパーラジオは他の方式のラジオと異なり、受信電波の周波数を別の中間周波数に変換します。ブロック図はその概略で、受信周波数f1と、f1+455kHzの周波数で局部発振させたf2を混合することでf1を中間周波数fIF=455kHzに変換します。例えば、f1が594kHzの場合、f2は594+455=1049kHzです。周波数分布でみると次のようなイメージになります。

f1とf2は受信周波数によって連動しますが、fIFは常に455kHzなので、それ以外の電波の混信を回避できるほか、低周波なので安定した増幅が可能です。

スーパーラジオ部品

スーパー用アンテナ、2連ポリバリコン、OSC/IFTコイルを使います。これらは市販品(新品)を推奨します。他からの転用や再利用は、状態が変わっている可能性があり、正常に受信できない恐れがあります。

①アンテナ
スーパー用は、1次コイル(同調側)と2次コイル(OSC側)に分かれています。(写真は本作品に使用したAM-88)

②2連ポリバリコン
同調用(150pF)と、OSC用(70pF)の2つを兼ね備えたバリコン。ダイアル軸を回すと、両方が連動可変する構造です。トリマーでそれぞれ微調整できます。(写真は本作品に使用したCBM-223)

③OSC/IFTコイル
OSC/IFTコイルは金属ケースでシールドされており、種類は調整コアの色で区別されます。IFTコイルは3種類あり、表に示すように各段で使う種類が決まっています。

IFTコイルは、中間周波のみ通過させるコイルで、455kHzに同調するコンデンサを内蔵しています(OSCコイルはコンデンサはありません)。組立時は、コイルの極性(コイルに電流が流れる方向)に注意します。また、金属ケースはGNDに落とします。

内容

1. ラジオ回路
e電子工房(http://einstlab.web.fc2.com/AMsuper/AMsuper.html) Y.Onodera氏の作製記事を参考にさせていただきました。このラジオの中間周波増幅は一段だけなので、段間用IFTコイル(白)は使用しません。ラジオのOutputは、別のアンプ基板※で低周波増幅してスピーカーに出力します。
※ユニバーサル基板でつくる386アンプキット(秋月電子通商)を使用

完成したラジオ基板です↓

2. 受信チェック
配線をチェックしたら通電して、最も周波数の低い局(NHK第一)を受信できることを確認してから他局も受信してみます。市販のコイルやバリコンは調整して出荷されるので、組立後そのままで受信できると思います。受信周波数帯のAM局が一通り受信できればOKです。
全く音声が出ない場合は、受信環境が悪いか配線ミスが原因なので、受信しやすい窓際などでアンテナの向きを変えてみる、配線不良個所を修正します。
一方、周波数によって受信感度が極端に偏ったりする場合は、OSC発振周波数のズレなどでfIFをうまく取り出せていない可能性があり、調整によって改善が見込めるかもしれません。参考までに、インターネットから簡易調整手順を載せておきます。(試してないので調整の程度は分かりません)

3. 組立
加工しやすい蓋付き樹脂ケースに組み込みました。アンプ基板の上にラジオ基板を取り付けています。

結果

写真が完成したラジオです。今居る川崎のワンルームマンションで、NHK第一,NHK第二,ラジオ日本,ニッポン放送,TBSラジオ,AFN(米軍放送)を混信なく受信できました。また、蓋付きケースに収めることで、音漏れも無く聞きやすいです。

あとがき

今は、スマホでインターネットラジオを聴くことができ、家電量販店でラジオをあまり見かけなくなりました。以前は、秋葉原に行くとラジオ部品や組立式ラジオキットを並べている店がそこかしこありましたが、今は少なくなりました。これもご時勢ですが、アナログ世代のオッサン(筆者)としては少し寂しさを感じます。せめて小生の目が黒いうちは、このラジオが鳴り続けてくれることを願うばかりです。

– 以上 –